【プレイヤーとゲーム世界の接続・前編】「シミュレーターから紐解くゲームの本質」
こんにちは、やまなふと申します。
突然ですが、ゲームを遊んでいると、一度はこんな疑問を抱いたことはありませんか?
特にゲーム開発に関わる人にとっては、避けては通れない問題かもしれません。
今回のお話では、この問題に答えるために、一度原点に立ち返って考えてみようと思います。
さて、ゲームの原点とは、極端に言えば、「現実世界の再現」 です。
例えば、任天堂の宮本茂氏は、マリオについて「アスレチックの楽しさを再現した」という旨の発言をされています。
そして、現実世界を再現するものと言えば、 シミュレーター です。
つまり、ゲームとはシミュレーターなのです。
それも、プレイヤーを楽しませるための、シミュレーターです。
シミュレーターを理解せずして、ゲームを理解することはできません。
そこで、今回はシミュレーターについて分析することで、ゲームの楽しさに一歩近づいて行こうと思います。
【面白いシミュレーターとは】
最初に考えたいのが、面白いシミュレーターとはまずなんだろうか、ということです。
一度発想を逆転してみましょう。一番面白くないシミュレーターとはなんでしょうか。
わたしが思うに、それは 「計算機」 です。
計算機は、現実世界の数字の法則を解き明かしてくれます。
しかし、そこに楽しい要素はありません。より厳密に言えば、それを楽しむかどうかはプレイヤー次第なのです。
なぜ、計算機が面白くないのか。それは、「世界観の出来栄え」が悪いからです。
数字の法則というのはとても抽象的すぎるので、わたしたちはそこに再現された世界を感じられないのです。
ふわふわとした話ですが、以下の例えで一発でわかると思います。
1. 3 - 1 = ?
2. 木に3つのりんごが実っています。1つ取って食べると、木には何個のりんごが残るでしょうか?
よくあるタイプの算数の問題ですね。 さて、ここで質問です。
どちらに「世界観の出来栄え」を感じましたか?
おそらく、2番だと感じた人が多いのではないでしょうか。 もの凄く簡単に言えば、この感覚があればあるほど、シミュレーターは「現実世界の再現」として面白いと感じられるのです。 次の項目では、この感覚をより具体的に解明していきましょう。
【自律性(Autonomy)】
では、なぜ2番には世界を感じられたのでしょうか。
それは、ただの計算の背景に、「プレイヤーから独立して動いている、生きた世界」を想像できるからです。
この「世界観の出来栄え」を少しかしこまった言い方で表すと、「自律性(Autonomy)」と言うことができます。
自律性にはいくつか種類がありますが、あえて一言にまとめるなら、こうです。
「その世界に独自の法則があり、プレイヤーが存在しなくてもその世界は存在する」
1番の計算式は、プレイヤーが動かなければ何も始まりません。
しかし、2番のりんごの木がある世界では、プレイヤーが何もしなくても、明日には風でりんごが落ちているかもしれないし、鳥が食べに来るかもしれないのです。
簡単に考えてみましょう。
例えば、初代マリオの世界にはこんな法則があります。
・クリボーは前に進み続け、崖があれば落下する。
・ノコノコは同じ足場を往復する。
・レンガブロックが浮いている。土管には入れることがある。
また、マリオの世界にはこんな歴史があります。
・キノコ王国はクッパの脅威にさらされており、ピーチ姫が攫われた。
これらの法則性や歴史は、その世界に元からあるもので、決して変わることはありません。
プレイヤーはその世界が思い通りにならないからこそ、「自分はその世界にいるんだ」と強く認識できるのです。
あなたの身の回りにあるシミュレーターやシミュレーションゲームを遊んでみれば、これらの自律性がいかに徹底されているか、理解できると思います。
【結論】
ここまでのお話をまとめましょう。
ゲームとは「現実世界の再現」、すなわちシミュレーターであり、優れたシミュレーターとはプレイヤーとは関係なく、自律して動く「生きた世界」である。
これが、楽しいゲームを作るための第一歩です。
では、ここで一度、この記事のタイトルを振り返ってみましょう。
【プレイヤーとゲーム世界の接続】
となっています。
ここで、一つ疑問が浮かびませんか?
そう、ここまでは「いかに楽しい世界を作るか」という話しかしていません。
先ほど、プレイヤーはその世界が思い通りにならないからこそ、「自分はその世界にいるんだ」と強く認識できる、と言いましたが、プレイヤーが何もできない世界は、到底ゲームとは呼べません。
ただそこに世界が存在するだけの、「単なるシミュレーター」です。
では、このシミュレーターを、プレイヤーを熱中させる「ゲーム」に変えるには、何が必要なのでしょうか。
次の中編では、今度こそ「プレイヤーとゲーム世界を接続」する方法についてお話します。
首を洗って待っていてください。
以上、【プレイヤーとゲーム世界の接続・前編】「シミュレーターから紐解くゲームの本質」でした。
